mippiro’s blog

人生って、ほどほどが一番良いのかも。おっさんが日々感じた事をダラダラ書いていくブログです。

手紙【後編】

【後編】※すいません。前後編になってしまいました。前編がまだの方は、そちらからご覧下さい。

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2週間ほどしてから、両親が突然、私のもとに訪ねてきた。

両親はニコニコしながら、食事に行くかと焼肉屋に連れて行ってくれた。

これは、手紙を喜んでくれたに違いないと思っていたのだが、途中で、やけに優しい事に気付いた。それにニコニコしながら、地元への帰省を異様に勧めてくる。

私は思い切って、何故突然来たのか聞いてみた。

両親は、オロオロしながら事情を話し出した。

実は私が送った手紙について、親戚中に相談したらしい。
「息子が突然、気持ちわるく、意味のわからない手紙を送ってきた。しかも、文章の最後には、あ~とか、う~とか呻き声のようなものが書かれている」と。
親戚からは、「それは重症だ。一旦、こっちに戻して病院に診てもらった方がいい。でも、いきなり言うと暴れるかもしれないから、食事をしながら優しく言ったほうがいい。」とアドバイスされたらしい。

…いきなり焼肉屋に行ったり、異様に優しかったのは、そういう事か。私は全てを理解したのだが、中途半端な言い訳をしても、私を引きつった笑顔で見ている両親は信じてくれないだろうから今回の手紙に関する全てを暴露する事にした。

両親は全く「北の国から」を見ていなかったらしく、事の真相を知った両親は「気持ち悪いことするな!」と激怒しながら地元に帰っていった。そして、私は二度と両親に手紙は書かないと誓った。


…しかし、あれから20年近くが過ぎ、私の心境にも変化があり、もう一度だけ父と母に手紙を書く事にした。

それは、父と母が死んだ時だ。それまでの感謝を込めて手紙を書き、棺に入れようと思っている。手紙を読めるのは、亡くなった本人だけだ。

どうか、その時には気持ちわるいと思わないでほしい。大丈夫。もう、「あ~、う~」は書かないから。