娘たちと港へ

昼下がりに娘たちと港へ向かった。

私は、すっかり暖かくなった港を散歩しながら、ライダー達の笑い声を聞き、春の訪れを感じていた。

私もバイクに乗るが、暖かくなってくると無性に港へ行きたくなる。そこに深い訳がある訳では無いのだが、海にはライダーを惹きつける何かがあるのではないかと思う。

ふと、海面を見ると所々で波紋があり、釣りがしたくなってくるが、息子の受験が終わるまでは私も我慢だ。それまでは、何を狙うかを考えておこう。我慢した後の釣りは格別だ。

そんな事を考えていると、娘が唐突にアイスが食べたいと言い出す。やはり、女子はアイスが好きな生き物なのだろう。私としては、コーヒーが飲みたかったのだが、しょうがなく、31へ行って娘たちと一緒に私もアイスを食べる事にした。

メニューを見てみると、『お父さんスペシャル』という素晴らしいネーミングのアイスがあった。
迷わず、『お父さんスペシャル』を注文し期待をしながら、早速一口。

…これは…お父さんが好きな味ではない。ラムネなのか、ソーダなのかわからないが、大人の男性が好む味とは思えない。

狙っていた思惑が外れた時というのは、とても虚しいものだ。

思惑が外れたアイスを食べながら、受験後の釣りは外さないように、狙いをしっかり決めようと改めて決意し、帰路につくのであった。